取り込んだ波形を再現したい -2

時間、電圧の条件を変えながら波形再現性の実験を行います。

使用したオシロスコープは リゴル製 MSO5354(周波数帯域 350MHz、最高サンプル・レート 2GS/s 4チャンネル同時)です。

最高サンプル・レートの制限について検証

基準とする信号は以下の通りです。

    波形                                      SinX/X

    繰り返し周波数                      10kHz/100kHz/1MHz

    信号振幅(ピークピーク)          5V

オシロスコープの波形の取り込み方法

    ファンクション・ジェネレータの波形長が最長16kに制限されるため、オシロスコープのメモリ長は16k以下になる10kに固定

    ノイズ低減のため256回のアベレージ取り込み

【実験1】

   SinX/Xの繰り返し周波数 10kHz

   オシロスコープの時間軸 50μs/div (取り込み時間 500μs) サンプル・レート 20MS/s

   赤色波形(リファレンスメモリに記憶したファンクション・ジェネレータのSinX/X、本来の波形)

   黄色波形(任意波形にて再生した波形)

図1のようにオシロスコープと任意波形はほぼ一致、再現ができています。

             image-20260331130221074.png

図1 実験1(周波数10kHz)における再現状況

この場合、図2のようにサンプル・レート、波形長は一致、サンプル・レートは余裕があります。

image-20260331130239087.png

図2 周波数 10kHzの場合のサンプル・レートと波形長の関係

【実験2】

    周波数 100kHz

    オシロスコープの時間軸 5μs/div (取り込み時間 50μs) サンプル・レート 200MS/s

図3、図4のようにこの場合もオシロスコープと任意波形のサンプル・レート、波形長は一致、任意波形のサンプル・レートは上限の200MS/sで動作。

再現性も問題ありません。
image-20260331130345518.png

図3 実験2(周波数100kHz)における再現状況

 image-20260331130402920.png

図4 周波数 100kHzの場合のサンプル・レートと波形長の関係

【実験3】

    周波数 1MHz

    オシロスコープの時間軸 500ns/div (取り込み時間 5μs) サンプル・レート 2GS/s

図5のように任意波形のサンプル・レートは上限の200MS/sに達しています。

image-20260331130448106.png

図5 実験3(周波数1MHz)における再現状況

このため、図6のように時間幅を1/10にするために波形メモリ長を1/10、1,000ポイントで動作します。

図5を見ると波形形状にわずかな歪みが現れ、またファンクション・ジェネレータの出力周波数帯域の影響により信号振幅が減少しています。

image-20260331130502473.png

図6 周波数 1MHzの場合のサンプル・レートと波形長の関係

結果として若干ですが波形再現性は劣化が始まっていることになります。

波形データ長の制限について検証

オシロスコープのレコード長は表1に示されるように10Mポイント以上が主流になっています。

図7はどちらも最高サンプル・レート 2GS/sのオシロスコープ、一つは最高レコード長 10Kポイント、もう一つは1000倍の10Mポイントの製品の時間軸設定とサンプル・レートの変化を示しています。

レコード長が短かった頃の10Kポイントの場合、最高サンプル・レート 2GS/sを維持できるのは500ns/divまで、それより遅くするとサンプル・レートは低下します。

一方10Mポイントの製品では1000倍の500μs/divまで最高サンプル・レートを維持できます。

つまり広い時間軸範囲で高速サンプリングが可能になり、急峻な変化を記録できることになります。

image-20260331130535495.png

図7 レコード長が1000倍違う場合の時間軸設定とサンプル・レート

そこで図5の信号設定のまま、オシロスコープのレコード長を10kポイントから1Mポイント、10Mポイントに変えた場合を検証します。

【実験4】

    周波数 10kHz

    オシロスコープの時間軸 500μs/div (取り込み時間 5ms) サンプル・レート 200MS/s レコード長 1Mポイント

図7のように再生された波形は粗くなります。

これは図8のように任意波形の最長メモリ長 16kポイントで5msのデータを出力するためには、サンプル間隔は0.3125μs(サンプル・レート 3.2MS/s)になり、再生された波形はかなり粗くなるためです。

波形出力にフィルタをかけて滑らかに処理すれば信号として使用できるかもしれません。

        image-20260331130741451.png

図7  実験4(周波数10kHz) レコード長1Mポイントにおける再現状況

image-20260331130752498.png

図8 周波数 10kHz レコード長 1Mポイントの場合のサンプル・レートと波形長の関係

【実験5】

    周波数 10kHz

    オシロスコープの時間軸 5ms/div (取り込み時間 50ms) サンプル・レート 200MS/s レコード長 10Mポイント

図9のように信号再生は破綻しており、波形再生は不可能です。

     image-20260331130813891.png  

図9 実験5 (周波数10kHz) レコード長10Mポイントにおける再現状況

図10のようにオシロスコープのサンプル・レートとレコード長、任意波形データのサンプル・レートとレコード長から理由は明白です。

image-20260331130830534.png

図10 周波数 10kHz レコード長 10Mポイントの場合のサンプル・レートと波形長の関係

このように、オシロスコープ側とファンクション・ジェネレータ側では最高サンプル・レートと最高レコード長に大きな差異があるため、正確な波形再現を行うためには最高サンプル・レートの遅い方、最高レコード長の短い方、現実的にはファンクション・ジェネレータのそれに合わせる必要が出てきます。