信号を拾い、計測器に導くためにはプローブが使われます。プローブに求められる役割は二つです。
● 回路の動作に影響を与えず、信号に影響を与えない
● 信号を歪ませることなく測定機に導く
より正しい計測には適切なプローブ選択が大切です。
あるエンジニアは
「最適のプローブを選択し、次にそのプローブが使える計測器を選ぶ」と語っています。
図1がプローブの分類です。
電流を観測して初めて分かることもありますが、元来、ほとんどの計測器の入力端子は電圧入力です。
電圧測定のニーズが大きいことと、そもそも電流入力を作ることが容易でないからでしょう。
プローブは大きく「電圧プローブ」と「電流プローブ」に分けられます。どちらも受動部品(抵抗、キャパシタ、インダクタ)で構成されたパッシブ・プローブと能動部品(半導体)も用いるアクティブ・プローブに分けられます。半導体にFETを用いた電圧プローブはFETプローブと呼ばれることもありますが、最近はアクティブ・プローブと呼ぶことが多くなりました。
また電流プローブは交流電流だけを扱えるタイプ(主に受動電流プローブ)と直流電流まで扱えるタイプに分けられます。ただしロゴスキーコイルは専用の増幅回路を使用しますが直流電流は扱えません。
図1 プローブの分類
計測器に目を転じると、入力端子のインピーダンスを考慮しなければなりません。
図2のように一般的なオシロスコープの入力抵抗は1MΩです。さらに並列に10~20pF程度の容量が入ります。
そして多くのオシロスコープでは入力インピーダンスを50Ωに切り替えることができます。
またより高周波を扱うことができる高速オシロスコープ(一般に周波数帯域2.5~4GHz以上の製品)の入力インピーダンスは50Ωになります。
図2 オシロスコープの入力インピーダンス
高周波の周波数解析を行うスペクトラム・アナライザでは入力インピーダンスは50Ωに、またデジタル・オーディオ向けの計測器では75Ωになります。
以前のアナログ・オーディオの入出力インピーダンスは600Ωでしたが、最近ではローインピーダンス送り、ハイインピーダンス受けになっています。
図3 高周波計測に代表されるスペクトラム・アナライザとオーディオ・アナライザの入力インピーダンス
電圧プローブは回路に並列に挿入されます。
そのため電圧プローブが回路動作に影響を与えないためには、プローブの入力インピーダンスができるだけ高いこと、理想的には無限大の入力インピーダンスが求められます。
図4 理想の電圧プローブ