理想の直流電源の内部抵抗はゼロですが、実際は有限です。電源回路の簡単な等価回路は図1になります。ノイズ源を持たない電源としては電池が挙げられますが、電池の場合は放電に従って内部抵抗が増加していきます。図1 簡単な電源の等価回路一般の装置では図2のようにスイッチング電源モジュールの出力と並列に平滑コンデンサが使われます。電源モジュールの出力インピーダンスは、出力電流の周波数上昇に伴って大きくなりますが、ある周波数を超えると平滑コンデンサのインピーダンスが影響します。このため出力側からはコンデンサとして見えてきます。電源インピーダンスの測定には図2のような周波数特性分析器(FRA)が使われます。図2 FRAによる電源インピーダンスの測定最近多い回生を使用したインバータ&モータ・システムではバッテリのインピーダンスに着目します。バッテリから放電された電力はインバータにより交流に変換されモータを駆動します。また、電気自動車でのブレーキング時には回生によりバッテリが充電されます。モータの動作状況によりダイナミックにバッテリは充放電を繰り返します。図3 バッテリ駆動のインバータ&モータのシステムリチウムイオン電池など2次電池の内部インピーダンスの等価回路は、単純な抵抗ではなく図4のようにキャパシタンス成分を持ちます。図4 リチウムイオン電池の等価回路例図5は等価インピーダンスを仮定した場合のインピーダンス特性です。DC電流ではすべての抵抗値の直列になりますが、周波数の上昇に位相変化を伴いながら減少します。バッテリに限らず、スイッチング電源を使用した機器の電源インピーダンスは周波数で大きく変化し、機器の動作に影響を与える恐れがあります。図5 リチウムイオン電池のインピーダンス特性ここで電源ノイズに視点を変えます。電源回路を内蔵した機器の場合、電源ラインに現れるノイズには二つの原因が考えられます。一つは電源回路が発生するノイズ、もう一つは負荷側が発生するノイズです。このノイズにはインバータやモータが発する低周波のノイズ、高速ロジック回路が発生する高周波ノイズなどがあります。図6 機器内部のノイズ源通常の制御回路では回路が発生するノイズだけでなく、電源自体のノイズ、さらに外部より飛び込むノイズによる誤動作、動作不安定が懸念されます。このノイズによるストレスへの耐性を評価するために任意のノイズを重畳できる電源、バイポーラ電源が使われます。バイポーラ電源は内部のジェネレータにより直流出力に任意のノイズを重畳させることができます。例えば周波数200kHzの正弦波を任意のレベルで重畳、また瞬間的な電源電圧変動を起こすことも可能です。図7 バイポーラ電源によるノイズの重畳さて、電源ラインのノイズ観測はオシロスコープの役割になります。観測されたノイズを含む電源を再現することができれば、ノイズ対策を効率的に行なえることが期待できます。図8のように、オシロスコープで電源ノイズ波形を取り込み、その波形データをバイポーラ電源用アプリケーションで編集、バイポーラ電源にロードすることで「再現性のある汚れた電源」を実現できます。図8 バイポーラ電源によるノイズの再現図9はオシロスコープで取り込んだノイズ波形データをファンクション・ジェネレータで再現し、高速バイポーラ電源を駆動する方法です。この方法ではより高い周波数のノイズに対応できます。図9 ファンクション・ジェネレータと高速バイポーラ電源によるノイズの再現図10は代表的なバイポーラ電源です。電源の容量により対応できる上限周波数が変わりますので、電源の機種選定にはデータシートでの確認が必要です。図10 代表的なバイポーラ電源電源容量があまり必要でない場合には、電源とデジタル電圧・電流計、オシロスコープが一体化された電源アナライザという製品があります。複数の電源モジュールが組み込み可能で、電源を変調することでノイズを重畳することが可能です。図11 電源アナライザの内部構造電源の容量やノイズの周波数により最適な方法が異なりますので、選択して使用するようにしましょう。