トランジスタ、ダイオードなど、単一の機能を持つ半導体を個別半導体と呼びます。半導体の集積化が当たり前になっていますが、以前よりパワー・トランジスタ、最近ではGBT、SiCなどの個別半導体の静特性の評価は基本的な測定です。FETでは図1のようにゲート・ソース間電圧を変化することでドレイン電流をコントロールします。図1 トランジスタの静特性で測定する項目例図2はMOSFETの特性例です。ゲート・ソース間電圧(VGS)を3.5Vから10Vまでの範囲で一定値に保ち、ドレイン・ソース間電圧(VDS)を0Vから20Vまで変化させたときのドレイン電流(ID)の変化を示しています。図2 MOSFETの特性例学生実験における静特性測定では、図3のようにゲート・ソース間に直流電源を、ドレイン・ソース間にも直流電源を接続、ゲート・ソース間電圧を一定値に設定しドレイン・ソース間電圧を変化させてドレイン電流の変化を記録、VDS-ID特性をプロットします。この実験では電圧計を2台、電流計を1台使用します。図3 学生実験での静特性測定方法この実験はかなり手間のかかる作業になりますが、より簡単な方法も考えられます。ソースメータは図4のように内部に直流定電圧源、定電流源を持ち、接続した負荷に加わる電圧と電流を測定できます。図4 ソースメータの構造2チャンネルのソースメータを図5のように使用することでトランジスタの静特性を測定できます。ただし、ソースメータの出力できる電圧、流せる電流には限りがあります。図5 ソースメータによる静特性測定方法複数の計測器を使用することで測定範囲を拡大できます。図6のように、2チャンネルのファンクション・ジェネレータより同期した階段波とノコギリ波が発生します。階段波をVGS、ノコギリ波を直流電源の外部コントロール端子に接続し、ドレイン・ソース間に接続した直流電源の出力をコントロールします。適切な電源容量の直流電源を用いることで、トランジスタを十分にドライブできます。ドレイン・ソース間電圧をオシロスコープの電圧プローブで、ドレイン電流を電流プローブで取り込み、X-Y表示を行う、または波形データをExcelなどで表示できます。図6 汎用計測器によるトランジスタの静特性測定図6の機能を1台にまとめた専用機が半導体カーブトレーサです。写真1はその代表的な製品です。写真1 代表的な半導体カーブトレーサカーブトレーサでは多くの製品が十分なドレイン電流を確保するために、ドレイン・ソース間電圧源(バイポーラ・トランジスタではコレクタ-エミッタ間電圧)として商用電源を全波整流して使用しています。商用電源の周波数に同期して動作するステップ・ジェネレータはゲートに加える電圧(バイポーラ・トランジスタでは電流)を発生します。図7半導体カーブトレーサの構造 動作タイミングは図7のようになり、1ステップ毎にドレイン・ソース間電圧をスイングさせてドレイン電流を測定します。図8 通常の動作しかし、ドレイン電流が大きくなると、トランジスタ内部で発生する熱量も比例して大きくなり、トランジスタの動作が変化してしまいます。これでは正確な測定は困難です。そのため図8のようにステップ・ジェネレータの出力を階段波ではなく、幅の狭いパルスにするモードに切り替えます。これによりドレイン電流の流れる時間はわずかになり、発熱を抑えることができます。図9 パルス・モードによる静特性測定最近のパワーデバイスはますます高電圧化、大電流化しています。写真2のように対応した専用計測器も用意されています。写真2 代表的なパワーデバイス・アナライザ