トリガには1. 「銃などの引き金を引く」2. 「(装置などを)動作させる」3. 「(出来事を)引き起こす」という意味がありますが、計測の世界では「2」の意味になります。図1のように一回しか起こらない、また図3のようにある現象に起因して起こる現象を記録する方法を考えます。図1 1回しか起こらない現象図2 ある現象に起因して起こる現象現在ではアナログ信号をA/D変換器でデジタル・データ化し、記録する方法が主流です。信号の変化があまり速くない場合は、HDDなどのデータ・ストレージに連続的に記録することが可能です。以前は容量の大きいストレージは磁気ハードディスクが主流でしたが、現在ではより高速で記録できるフラッシュメモリ、SSDに切り替わりつつあり、以前より高速で信号を連続記録できるようになりました。現在(2024年現在)では記録チャンネル数が1チャンネルないし2チャンネルにて最高20MS/sの変換速度で波形を連続して記録できる製品が市販されています。これにより数μsの変化を捕らえることが可能です。図3 代表的なレコーダ連続的に記録できれば、データ取り込み後に検索することで事象を観測することができます。しかし、信号の変化がより速い場合には記録メディアの速度が追い付かないため、半導体メモリに一旦記録することになります。高速半導体メモリの容量には制限があり、記録時間は記録時間=サンプル間隔×記録長に制限されるため、記録を始めるきっかけ、トリガが必要になります。図4は初めのパルスの立ち上がり部分を検出し、トリガとした例です。この例では記録エリアの先頭から10%の位置がトリガ・ポイントになります。トリガ以前をプレトリガといい、トリガ・ポイントは任意に設定することができます。図4 起動信号と反応信号を取り込む例トリガ機能は周波数、周期、時間間隔を高い測定確度で計測できる周波数カウンタでも使われます。周波数カウンタでは図6のように特定のゲート期間(例えば1秒間)のパルスの数をカウントすることができ、これもトリガの一種と考えることができます。図5 周波数カウンタにおけるトリガ