オシロスコープでは、記録時間が限られるため、トリガは重要な機能です。もしトリガがなく、ランダムに繰り返し信号を取り込むと、図1のように異なる位置で重ね合わせになってしまいます。図1 トリガがないと波形観測が困難図2は立ち上がりエッジを検出し、同一タイミングで重ね合わせ表示を行った場合です。信号は安定して表示できます。図2 トリガで繰り返し信号を安定表示図3は現在ではほぼ絶滅したブラウン管を使用したアナログ・オシロスコープの動作です。入力された信号は増幅され、電子銃から放出された電子はY方向にスイングされます。信号のエッジ・タイミングでスタートするノコギリ波により、電子は同時にX方向にスイングされ、ブラウン管上に表示されます。このままではトリガ・ポイント以降しか表示できませんが、遅延線により信号を遅らせることでエッジ部分を表示できます。ただし、遅延時間はわずかしかなく、変化させることができないため、デジタル・オシロスコープのようにトリガ・ポイントを任意に変えることはできません。図3 ブラウン管式アナログ・オシロスコープの構造図4はデジタル・オシロスコープの基本構造です。トリガは連続的に動作している波形取り込み動作を停止する役目であるため、トリガ・ポイントは自由度高く設定できます。図4 デジタル・オシロスコープの基本構造トリガの基本はエッジ・トリガです。エッジ・トリガでは「トリガ・レベル」と「トリガ・スロープ」を設定します。図5のようにトリガ・スロープがプラスでは立ち上がりエッジが、マイナスの場合は立ち下がりエッジが検出できます。図5 基本のエッジ・トリガほとんどのオシロスコープではトリガ・レベルはノブで設定、設定電圧は画面リードアウトに表示されます。図6はサイン波の立ち上がり部分をトリガ・レベル:1500mV、トリガ・スロープ:プラスで取り込んだ例です。図6 エッジ・トリガの表示例トリガの設定で大切な条件にトリガ・ソースがあります。図7のCH1とCH2は周波数が2倍異なる同期した信号です。左はCH1の信号をトリガにした例ですが、CH2の信号が重ね合わせになっています。右はCH2の信号をトリガにした例ですが、二つの信号の位置関係がはっきりと確認できます。CH1をトリガにした場合にはCH2のハイ/ローが決まらないため適切な表示が得られませんでした。図7 時間関係を正しく表示するためにはトリガ・ソースの選択が大切