周波数カウンタとその使い方

交流の周波数、また時間を測る周波数カウンタは基本計測器の代表です。その原理と応用測定を理解しましょう。
周波数や時間をより正しく測定するためには基準となる信号、クロックが必要です。図1は周波数カウンタの内部構造です。
内部には高い確度のクロック源があり、機器全体の確度はクロック確度により決まります。
代表的な周波数カウンタでは確度は1ppm(10-6)程度、オプションの高確度クロックにて2桁程度向上します。

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図1 周波数カウンタの内部構造

入力された信号はオシロスコープのエッジ・トリガ同様にトリガ回路でエッジを検出されます。その後波形整形されゲート回路で向かいます。一方、内部クロック信号を元に、例えば1秒間開くゲート信号が作られます。信号がゲートを通過し、その信号数をカウントすれば周波数が求まります。

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図2 周波数カウンタの動作

製品ではランプ等を利用した補間回路により分解能を高めています。ところで信号にはノイズが含まれます。
ノイズ・レベルが信号に比べて十分に低ければ良いのですが、ノイズ・レベルが高い場合には図3のように誤動作を起こします。オシロスコープの場合では、トリガが安定しない状況と同様です。

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図3 信号雑音によるミス・カウントの発生

これを抑えるために、オシロスコープのトリガ回路同様にトリガ・レベルにヒステリシスを持たせます。これによりヒステリシス以内の変動を無視できます。またオシロスコープのトリガ同様にノイズ抑制フィルタを入れることもあります。
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図4 ヒステリシスによるノイズの悪影響の削減

より高い確度が必要な場合は外部クロック入力としてルビジウム発振器に代表される発振器を併用します。ルビジウム発振器では10-11程度の高い確度が得られるため、周波数カウンタノ性能を大きく高めることができます。
時間差測定も高い確度で可能
2つの入力を持つ周波数カウンタでは2信号間の時間差を高確度で測定できます。
図5はCH Aの立ち上がりエッジとCH Bの立下りエッジ間の時間を測定する例です。2つの信号でゲートの開閉を行い、内部クロック信号を通過させることで時間が求まります。

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図5 周波数カウンタによる時間差測定

オシロスコープでは取り込んだ波形データからカーソル、ないし波形パラメータ測定で時間差を求めることができますが、周波数カウンタではよい高確度測定が可能、また測定結果を外部PCに取り込むことでデッドタイムを抑えながらデータを連続記録することもできます。